はじめてのブランディング 前編(美容室・飲食店版)
近年、テレビや業界誌等で繁盛店をテーマにした特集等が組まれる機会が
増えてきました。そして、繁盛店を語る番組や記事の中でよく耳にする
魔法のコトバがあります。そう「ブランディング」です。
ブランディングとはお店の価値をアイコン化することであり、
競合との差異を明確にし、市場における独自のポジションを獲得
することです。そして、お店のファンを創造することが目的です。
特に、飲食店や美容室といったサービス業においては、
お客様に信頼、評価され、選ばれるお店になる必要があり、
ブランディング戦略が大切だといわれています。
そして、それは多くの繁盛店や企業が実際に証明してくれています。
しかし、一方で多くのお店や中小企業がブランディングに失敗し、
成果をあげられていないというのが実情です。
その一番の原因として「ブランディング」=「デザイン」と考えられている点にあります。
ブランドはサービス、デザイン、ネーミング、コミュニケ−ションなど複数の要素から成り立っています。
そして、その複数の要素をミックスしてお店の価値を伝達する
ということがブランディングなのです。
ブランディングに失敗するお店や企業の多くは、
表層的なデザインというものばかりにとらわれ、
本来のブランディングの役割である”価値をアイコン化し、
伝達する”ということを忘れてしまっています。
これでは上手くいきません。
価値のないところにブランドは生まれませんし、
他店との違いを明確に謳えなければ
独自のポジションを獲得することも難しいでしょう。
つまり、
ブランディングにおいて本当に大事な事は
「お店の価値を創造すること」
「お店の価値を伝達すること」
「お店の価値を記憶・想起させること」
なのです。
「お店の価値を創造すること」
そもそも「お店の価値」とはなんでしょうか?
値段?サービス?それとも利便性?
価値には色んな種類がありますが、
大別すると次の2つに分けられると思います。
1.機能的価値(ファンクショナル・ベネフィット)
2.情緒的価値(エモーショナル・ベネフィット)
まず機能的価値についてですが、
これはサービスの基本的な機能であり、そのものが持つ価値のことで、
そのサービスによってどんな「メリット」があるかということ。
次に情緒的価値ですが、
こちらは広告・デザインを含めた製品に付加されている情報や
コストや利便性など製品以外の価値のことで
そのサービスによってどんな「ハッピー」があるかということ。
この機能的価値と情緒的価値を自らのお店にあてはめ、
それぞれを書き出してみることで、
お店の価値を客観的に知る事や新しい価値を生み出す事が出来るかもしれません。
ただし、これらの価値がお店のターゲットにマッチしているかどうか、
という点を忘れてはいけません。
価値というのは価値観という言葉があるくらい人それぞれです。
同じ価値を観る事が出来る人。
つまり、お店の価値を共有してほしい(共有できる)相手の
性別、年代、エリア特性、トレンド、所得などを考慮し、
それにあった価値の創造と提供を心がけましょう。
<次回に続きます>